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大工の進むべき道


工場に人が来てくれること

コロナの影響もあって、集まっての密を避ける為に

春先から定期的に工場でBBQを開催している。

もともと工場を購入した時から

景色と環境がよく、『この場所が人の集える場所に』ってのがあって

BBQを開催することによって、もっと人が集える場所に、がさらに加速している。

少しずつ取り組んでいるのだが、日々の仕事に追われ、なかなか現状は進んでいない。

そんな中、うちの工場のトイレには

経営理念、ビジョン、約規が掲げてある。

工場でBBQをすれば、もちろんトイレはご利用して頂く訳で

もちのろんで目にも付く訳

2019年に経営指針書を作成するうえで完成したのだが

2020年昇華させていただいた。

その向こうへ

経営指針を作るうえで自分自身が超えなければいけないのが

阿部飛鳥の空風工務店から、空風工務店の阿部飛鳥になること

職人で育ってきた僕は、経営はもとより見積りさえしたことがなかった。

全ては創業してから学びながらこなしてきた。

人を雇う部分で失敗もあったし、申し訳ないことなんて山程ある。

もちろん親父のところにいる時から、予算を聞いて

自分なりに人工を相談して、その中で納められるように、というのは常に意識していた。

弟子という立場で上手くいかないことも多かったけど

親父は全部受け入れてくれて、現場を任せてくれていた。

間違いなく僕自身のベースになっているし

今は僕自身がそうしなければならないと思っている。

うちの事務所に来てもらうと分かるが、本がたくさんある。

本を読む習慣などなく、例えば週に一冊読むとか月に何冊読むってことは考えていない。

今知りたいこと、興味があることを学びたいと思ったら

そこに本があっただけの話だ。

その学びの中で大工はこのままでいいのか?っていう考えもうまれてきた。

親父が僕を育ててくれたように、僕も人を大工を育てたい。

その学びを深める為

空風工務店の阿部飛鳥になる為に、僕は中小企業家同友会に入会した。

中小企業家同友会での学び

入会して一番感じたのは、どんな会社の経営者も

大なり小なり、みんな悩みながら、学び、実践しているということ。

もちろん学びなんてさて置いといて、人脈を増やしたいって人もいるし、

誘われたから入会している人もいる。

良いか悪いかはさておいて

指針や理念なんて大企業がやることだと思っていたが、そこが違った。

僕自身、大工としてこうなりたい、こうに若い子を育てたいはもちろんあった。

それを成文化し、ひとに伝えられるようにするのが指針書で会社が大きかろうが小さかろうが関係なかった。

自分の会社をどうにしたいかを伝えられなかったらそもそもダメで、見えないとダメ。

自分の会社をどうにしていくかを明確に示したのが経営指針書だ。

いくら頭で思っていても、成文化していなければ的確に相手には伝わらない。

そもそもなんで仕事が出来ているか?

そんなことをキチンと考えられる大工がどれほどいるのだろうか?

大工だけでなく、設計士、リフォーム会社、ビルダー。

お施主さんがいないとあたし達の仕事は成り立たない。

お施主さんの家に入り、問題を解決していく

自分自身の技術は誰のおかげで成熟し、誰の為に使うのか。

答えは明白だ。

それが弊社の経営理念の『ありがとうにありがとう』

自分が住んでる家がキレイになり、住みやすくなって、『ありがとう』と言わないお施主さんはいない。

だからこそ『ありがとう』が当たり前ではなく、感謝しなければならない。

空風工務店を知ってくれて『ありがとう』

空風工務店に仕事を依頼してくれて『ありがとう』

空風工務店を好きになってくれて『ありがとう』

そのありがとうを頂く為に、大工として持っている技術や知識、全てをぶつけていく。

その為に必要なのがビジョンであり約規だ。

空風工務店で働く、全ての大工がそうでなければならない。

町家の大工、町の工務店

近所の大工さん、ずいぶん減ってしまったと思う。

京都には100年企業なんて、ざらにあるが、職人がキチンと会社として継承出来ていれば…

正直残念でならない。

僕は大工が一番かっこいいと思っているし、かっこよくありたい。

だから、空風工務店では子供たちが大工になりたいと思うようなかっこいい職人を育てていく。

僕が大工業界に入った20年前から、随分、工務店を名乗ってても下請け大工が増えたように思う。

家を建てようがリフォームしようが、全ての職人さんに当てはまることが大工ありきだ。

だから大工さんはカッコよくないとダメだってのが僕の持論であり空風工務店の基本。

だからこそ大工職人としての経営者を目指す。

正直40歳を前にして、現場に出ながら夜に事務作業をするのが辛くなってきたが

指針に掲げている以上やらねばならない。

約規

もちろん大好きな坂本龍馬の海援隊約規から、約規は大工職人としての志

どうすれば理念をこなし、ビジョンを達成出来るか

凡事徹底、当たり前のことが一番大切で、それを続けられれば、理念もビジョン達成出来ると作成した。

いい大工になる為には、技術や知識はもちろん、いかに心で仕事が出来るかだと思う。

社員だけでなくみんなに知ってもらう

経営指針書は社員だけでなく、お客さんや、全ての人に

空風工務店はこんな考えで、どんな目的・目標があって、その為にどうしていくかというものだ。

冒頭書いたように、指針の核となる経営理念、ビジョン、約規が空風工務店のトイレに掲げてある。

来ていただき、トイレを利用していただくと、いやでも目につく。

僕とちひろの共通認識の為に、トイレに掲げたが、副産物として

結果、工場に来ていただいた人に認知してもらうことになった。

空風工務店の進べき道で、大工の進べき道だ。

たくさんの意見や考えをいただいている。

まだまだ空風工務店は成長いけると感じさせていただいている。

アントニオ猪木も言っている。

人は挑戦を諦めた時に年老いていく。

 

この僕が書いた文章がしっくりこない人はこの曲を聞い欲しい。

結びつくかどうか分からないが

ILL-BOSSTINOがクラムボンと歌ったリリックを載せておく。

東京のHIPHOPで育った僕は、当時、アンチ東京を受け入れられなかった。

でも今では分かる、ぜひ感じとって欲しいし曲を聞いて欲しい。 

曲名はあかりfrom HERE ~NO MUSIC,NOLIFE.~

 

未完成なお互いが与え与えられ

顔と顔とを向かい合わせていかなくてはダメだ

言いかけた言葉も口に出さなければ

全てかけがえない ただ忘れていくだけだ

伝わるか伝らないかなんかは関係ない

伝えようとすることを今も俺は諦めない