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腐ったリンゴの実験


 自分自身のアウトプットの為に、仕事の為に学んだ技術や知識も発信していこうと思う。今回は組織運営について。

 オーストラリアのサウスウェールズ大学で組織行動学を研究するウィル・フェルプスによる『腐ったリンゴの実験』というのがある。ちなみに、英語には腐ったリンゴは隣を腐らす、The rotten apple injures its neighbor、ということわざがあって、痛んでいないりんごの中に腐ったりんごを入れると、その周りからじわじわ腐っていくことから、組織にマイナスの影響をおよぼす、人や物を揶揄して使われるそうです。日本では腐ったミカンの方がピンとくるかもしれないですね。

 


チームに悪影響を与える3つのタイプ

1. 性格の悪い人 攻撃的、反抗的

2. 怠け者 労力を出し惜しむ

3. 周りを暗くする人 愚痴や文句 ばかり言っている

 

腐ったリンゴの実験では、とあるプロジェクトに取り組んでいるチームに、ニックという 20代男性を送り込んだ。ニックにはチームに悪影響を及ぼす3つのタイプを演じてもらう。チームに悪影響を与え、チームの反応を観察する。ニックの悪影響は抜群で、どんなチームに送り込まれても必ず40%程のパフォーマンスを低下させ た。そして、「性格が悪い人」「怠け者」「周りを暗くする人」のどのタイプを演じても、パフォーマンス低下の大きさはだいたい同じであったそうです。

 

簡単に言えば

1.反抗的な態度をとる

2.少し手を抜く

3.グチを言う

どこにでもいるし、誰もが一度はやったことがあること。それが生産性を40%も低下させる原因になるそうで、理由は単純、組織の中に腐ったリンゴ(3つのタイプ)が増えたから。グチを言っている人がいると、同じくグチを言っている人が2、3人増えている、怠ける人がいると、周囲も一緒に怠けだす。まさしく腐ったミカン…ではなく、腐ったリンゴは隣を腐らす。 

ただ、面白いのはここから。

腐ったリンゴの無効化

 しかし、全てのチームで悪影響が増えた訳ではない。例外が1つだけあった。

「ニックがどんなに頑張っても、生産性が落ちない。原因は1人のメンバーで、他のチームでは効果抜群だった悪影響も、そのメンバーのせいでまるで通用しなくなる。ニックの注入した悪影響が、彼によって中和され、他のメンバーはすぐにやる気を取り戻し、また目標に向かって邁進していった」

この1人のメンバーのことを仮に「ダック」と呼ぶ。この時フェルプスがもっとも興味を持ったのは、ダックが特別なことは何もしていないように見えたことだった。

心理的安全性を高める

 ダックの動きには1つのパターンがあった。ニックが悪影響を与えようとするたびに、ダックはすぐに悪影響を中和させるような行動を取るのだ。ニックが嫌味を言ったり暴言を吐いたりすると、ダックは少し身を乗り出して笑顔を振りまく。ニックにあからさまに対抗したりはしない。穏やかな態度で場の緊張を和らげ、その場にいる人々を安心させる。次にダックは簡単な質問をして他の人の発言を促し、相手の答えを熱心に聞く。するとチームの活気が復活し、メンバーは再び心を開いて自由に意見を交換するようになる。協力関係が自然に構築され、目標に向かって1つになることができるのだ。

腐ったリンゴを無力化できる人

 結論から申し上げると、腐ったリンゴを無力化できる人とは、『ニコニコと笑顔で人の話を聞き、それでもブレずに目標に向かう人』ということだ。

 ダックは 、腐ったリンゴの毒を中和する美味しいリンゴだ。この美味しいリンゴの

話は、2つの事実を教えてくれた。

 

 1つは、何がチームのパフォーマンスを決めるのかということ。

優秀なメンバーを集めればチームのパフォーマンスが上がるというわけではない。大切なのは知性やスキル、経験であって、まさか「ちょっとした小さな行動」が決め手になっているとは思わない。しかしダックの事例を見ればわかるように、小さな行動が大きな違いに繋がっている。

 そしてもう1つは、ダックがとった行動は「強いリーダー」という言葉から連想されるようなものではないこと。

先頭に立ってその場を仕切ったわけでも、周りに指示を出したわけでもない。戦略も立てていない。ダックはただ、すべてのメンバーが安心し、「私たちは強固なチームだ」と確信できるような環境をつくっただけなのだ。ダックのグループが成功したのは、優秀なメンバーが集まったからではない。ダックがメンバーに安全な環境を提供したからだ。

腐ったリンゴを取り除く

 成功しているチームに共通するのは、腐ったリンゴに対してとても厳しい。なによりも、腐ったリンゴを鋭く見抜くこともできる。

「オールブラックス」の愛称で知られているラグビーのニュージーランド代表チームは、最も成功したスポーツチームの1つだ。そんな彼らのモットーは、「愚か者は去れ」だ。

最強チームにしか見られない特徴

 大きな成功を収めているチームのメンバーに、お互いの関係について尋ねると大抵同じ答えが返ってくる。それは、「友だち」や「仲間」という答えではない。彼らは自分たちの関係を「家族」という言葉で表現する。自分たちのつながりについて語るときは、まるで家族の関係を語っているかのように語る。

「正直なところ、何度かやめようと 思ったこともある。それでも離れられなかった。こんなつながりは他では手に入らないよ。チームは自分にとって兄弟も同然だ」 

 

「家族のようなつながりを何よりも大切にしている。それがあるおかげで、より大きなリスクを取ることができるし、お互いを許すこともできる。それに加えて、自分の弱さをさらけ出すことができるんだ。この関係は形式的な繋がりでは絶対に手に入らない」 

ここまでの話を聞けばチームや組織で自分が何をすればいいかが見えてくるはずだ。

最強チーム特有のパターン

 最強チームには以下の特有パターンがある。

 

☆お互いの物理的な距離が近い。よく輪になっている。

☆アイコンタクトが多い

☆握手、グータッチ、ハグなどの肉体的な接触がある。

☆活気のある短い言葉のやりとりが多い

☆チーム内の交流が盛ん。仲のいい小さなグループで固まらず、誰もがメンバー全員と会話する。

☆人の話をさえぎらない

☆質問をたくさんする

☆人の話を熱心に聞く

 

成功しているチームは、ただのみんなハッピーな仲良しグループではない。彼らの目的は、ハッピーになることではなく、難しい問題を解決することだ。そのために彼らは協力し、努力を惜しまない。

弱さが開示される瞬間

 組織行動学では、どんなささいなやりとりでも連鎖反応によって組織の性質を大きく変えることがある。メンバーの誰かが弱さをみせた時に、チーム全体がリラックスする。強がる必要がないという安心感を得ることが出来る。結果として、つながりと信頼関係も深まり、思いやりや助け合いが生まれる。

 チームの誰かが見せてくれた弱さに対して、自分が弱さを開示するのか隠すのか。受け取り手がどちらを選ぶかで結果は大きく変わる。チームメイトの弱さをみて、自身の弱さも開示する、このような弱さを見せるコミュニケーションは【弱さのループ】と呼べる。自身の弱さを感じた事がある人間は、他人に対して協力的になれることが実験によって証明されている。弱さのループから生まれた信頼関係や親密さは、他の人にまで伝わり、伝染する性質をもっている。

協力関係の仕組み

 日常の小さなやり取りの中で、弱さのループが生まれることもある。小さな弱さを見せることで、大きな成功を収める。少しの弱さで、勇気を持って大きなリスクを取ることができる。

協力関係とは、あえてお互いに弱みを見せ合うというリスクを取り 、恥ずかしさや苦痛を共有するという特定のパターンの行動を繰り返すことで少しずつ構築されていくのだ。

ソラカゼスタイルの確立

 空風工務店はとにかくカッコいいを追い求めていく。それがソラカゼスタイル。その為の努力は惜しまない。そもそもその姿がカッコいい。ただ、本を読んでブログでアウトプットするだけでなく、実践しなければ意味がないしPDCAはまわらない。知れば知るほど時間が惜しくてたまらない。その惜しい時間は自分だけではなく、すべての人が同じだけ持っている。すべての人にとって時間は大切だ。自分がして欲しいなら、まずは自分からしていく。とにかく行動し、ひたすらカッコいいを追い求めていく。出来てないことばかりに目がいってしまうが、安心していい、その裏で確実に出来ることも増えている。大切なのは本質の部分を確立していくことだ。

 

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参考文献

A teammate changes one's motivation By 6532 Minami Miura